人気女性ラッパーAwichの成功と、旦那・娘のこと、楽曲のこと

沖縄県の顔といわれる、人気女性ラッパーAwich。

10代の頃からキャリアを積み上げており、映像制作、舞台演出、ファッションイベント企画など、幅広く手掛るクリエイターでもあります。

またRed Bullと88risingの共同製作による長編ドキュメンタリー「Asia Rising: The Next Generation of Hip Hop」において大きく取り上げられるなど、世界中から大きな注目を集める人物です。

今回は、そんなAwichの生い立ちから成功までの道のり、旦那さんや娘のこと、楽曲などをご紹介します!

Awichのプロフィール

hardestmagazine.comより出典

出生名 浦崎 亜希子(うらさき あきこ)
アーティスト名 Awich(エイウィッチ)
生年月日 1986年12月16日
身長 不明
生誕地 沖縄県 那覇市
出身地 沖縄県 那覇市
レーベル ユニバーサルミュージックジャパン

Awichの生い立ちから人気ラッパーになるまで

sunsetstyle.jpより出典

Awichは1986年12月16日に、沖縄県那覇市で生まれました。幼少期の頃からフェンスを挟んだ先にある、米軍基地に強い興味を持ちます。大人たちから近づくなといわれる一方で、そこで遊ぶ子供たちに憧れのような感覚も芽生えたそうです。また趣味として、気づいた頃には沖縄のことや宇宙のこと、または恋や愛について詞を書くことへ熱中。そんなある日、ふと見ていたテレビ番組「ポンキッキーズ」にて、出演していたスチャダラパーのBOSEをきっかけにHIPHOPを知ります。それからは日本のHIPHOPを聴くようになり、ラップばかりを作詞。小学4年生から米軍基地内の英会話教室に通いながら、本場アメリカのHIPHOPから生きた英語を学んでいきました。

中学生になったAwichは、レンタルショップで世界的ラッパー2Pacのアルバム「All Eyes On Me」と出会います。それからというもの、四六時中2PacのCDを聴き漁り、リリックやインタビューの発言をノートに書き写す生活へ没頭。そして14歳の時、沖縄産ヒップホップのコンピレーションアルバム「Orion Beat」に、客演として参加。本格的に、Awich名義でアーティスト活動を開始します。アーティスト名の由来は、本名の”亜希子”を直訳した”Asia Wish Child”から造語として作られました。

沖縄県浦添市にある昭和薬科大学附属高等学校に進学したAwichは、学業と並行してクラブのラップバトルにも参戦するようになります。HIPHOPにのめり込む一方、「沖縄の音楽シーンをもっと広めるために、ビジネスの勉強をしたい」という思いが芽生えました。大学生に向けた起業家セミナーなどにも足を運び、経営の勉強を開始します。そして大学は経営学に強いアメリカの学校へ進学したいと考えますが、当時契約していたレコード会社は留学には否定的でした。Awichを本格的にプロデュースしたいという理由から、日本の大学へ進学を勧められます。しかし勉学への思いが強まり続けるAwichは、アメリカのインディアナポリス大学へ進学。音楽活動にも手を抜かず、2006年EP作品「Inner Research」をリリース、2007年にはファーストアルバム「Asia Wish Child」リリースします。

2008年には、現地で出会ったタトゥーアーティストのアメリカ人と結婚し長女を出産。家庭を築きながらもなんとか大学に通い続け、2011年に起業学とマーケティング学の学士号を取得し卒業しました。その後、家族で日本に戻り暮らしていくことを決めていた矢先、旦那さんが殺害される事件が起こります。悲しみに打ち砕かれそうにもなりますが、アーティスト活動を再開。2017年にヒップホップクルーYENTOWNに所属し、音楽プロデューサーのChaki Zulu全面プロデュースによるアルバム「8」をリリースします。2018年には「BEAT」と「HEART」という2枚のEP作品をリリースし、自身初となるワンマンライブツアーを全国5都市で開催。Awichの活躍は止まることを知らず、2019年には同じ沖縄出身のラッパー唾奇とカップリング・ツアーを主催していきます。そして世界的な清涼飲料水メーカーのRedBullと、アジアのカルチャーシーンを発信するメディア88risingが共同制作したドキュメンタリー「ASIA RISING」に出演。ドキュメンタリーの中でも大きく取り上げられ、Awichの人気は世界的に広がりました。

確実に実力と人気をつけてきたAwichは、2020年1月10日セカンドアルバム「孔雀」をリリース。同年7月15日には、ユニバーサルミュージックジャパンよりシングル「Shook Shook」をリリースしメジャーデビューを果たします。そして8月21日に、EP「Partition」をリリース。男性社会となっているHIPHOPシーンに、Awichがメスを入れていくことは間違いありません。


旦那との出会いと別れ ・ 娘のこと

Awichが旦那さんと出会ったのは、アメリカに渡り2ヶ月ほどたった時でした。通学中に車から声をかけてきた内の1人が旦那さんで、車で学校へ送ってもらう道中にAwichがタトゥーデザインをしていることで意気投合します。後日タトゥーデザインを見せる約束をし再開したことから、デートを重ね付き合っていったそうです。

その後は順調に交際していき、在学中に結婚し妊娠。Awichは結婚するまで知らなかったようですが、旦那さんはかなりアウトローな生活を送っていたらしくプッシャー(麻薬密売人)でもありました。そのためAwichの妊娠5ヶ月目に逮捕され、長女が生まれる3日前に旦那さんは出所。長女はToyomi Jah’mira (トヨミ・ジャミラ)と名付けられすくすくと育ちますが、旦那さんの生活は相変わらずで、車に銃痕が残っていた日もあったようです。

そして2011年にAwichが一時帰国中、旦那さんは事件に巻き込まれ銃殺される事件が起こります。ちょうど旦那さんとケンカをしていたAwichは電話もメールも無視していたようで、最後に届いていたメールが「I miss you and I love you,I hope everything is good with you」というものでした。「君が恋しい、君を愛してる」という内容で、このメールの数時間後に旦那さんは亡くなります。

旦那さんが生前残した言葉で「何かあったら、海に流してほしい」という約束を守り、Awichは長女と共に沖縄の海で遺灰を散骨しました。2018年6月にリリースされた「Ashes」には、旦那さんとのエピソードをリアルに綴ったナンバーとなっており、MVでは遺灰を散骨するシーンも収録されています。


Awichが代表を務める制作会社「CIPHER CITY」

Awichはアメリカ留学からの帰国後、制作会社「CIPHER CITY」を立ち上げました。映像や番組、舞台演出、ファッションイベント企画など、とてもクリエイティブな会社として成長しています。方針としては、沖縄の地域資源や産物、文化を、アートやデザインをメインにコンテンツへ活かしていくことです。

活動の幅も広く、アメリカのファッション誌「VOGUE」の取材にて、沖縄のデザイナーズブランド「YOKANG」を県産ブランドとして紹介しプロモート。沖縄出身アーティスト大城英天さんの個展がニューヨークで開かれた際には、レセプション・ライブを開催しています。

2017年にはAwich自ら脚本・演出を務めた短編映画、「Aimer(アイメール)」が公開。海とエロスがテーマとなっており、童話「人魚姫」をベースにAwichの視点で描かれた物語です。「Aimer」は、公開から瞬く間に話題の作品となります。そしてアムステルダム「ニュールネッサンス映画祭」で、ベスト・ファンタジー部門にノミネートされ受賞する快挙を成し遂げました。


Awichの代表曲

Remember feat. YOUNG JUJU (Prod. Chaki Zulu)

ヒップホップクルーKANDYTOWNの中心人物である、YOUNG JUJUを迎えた爽快ナンバー「Remember feat. YOUNG JUJU (Prod. Chaki Zulu)」。実力ある2人がコラボレーションしたことで、発売前から話題となった作品です。ラップの緩急と、パーカッションのサウンドが入り混じる、とてもノリやすい楽曲構成となっています。

 

WHORU? feat. ANARCHY (Prod. Chaki Zulu)

超人気ラッパーANARCHYを迎えて制作された「WHORU? feat. ANARCHY (Prod. Chaki Zulu)」。ANARCHYはドラマ「HiGH&LOW」や、映画「TOKYO TRIBE」にも出演するなど、マルチな才能を見せるHIPHOP界の中心人物です。楽曲はとても印象的なリリックが詰まっており、Awichの歌唱力とANARCHYの力強いラップが合わさった最高傑作です。2020年11月の時点では、YouTubeの再生回数が740万回を超えています。

 

Bad Bad (Prod. Chaki Zulu)

Awichの新しい姿を見せた楽曲「Bad Bad」。幻想的な雰囲気が漂いながらも、ポップな仕上がりのナンバーです。MVを監督したのは、音楽シーンで今最も注目されている映像作家・山田健人。Awichの故郷である沖縄で撮影され、「ラッパー、1人の女性、そして母」というあらゆる側面を記録した作品となっています。


いかがだったでしょうか。

今回は、HIPHOP界を代表する女性ラッパーAwichをご紹介しました。経営者、アーティスト、そして母親としての顔を持つ、日々闘い続ける女性です。男性アーティストが多く活躍するHIPHOP界に、大きな衝撃を与えたAwich。これからの活躍も目が離せません。

日本人ラッパーについてもっと知りたい方は「押さえておきたい日本人ラッパー20選【2020年最新版】」を参考にしてください。