J Coleの生い立ちと活躍

デビュー以来5枚のアルバムはすべて全米チャート1位を獲得した、世界的ラッパーであるJ Cole。

全米チャートの常連ラッパーであるドレイクは、J Coleのことを「俺たちの世代で、最も賢く、最も偉大で、最も伝説的なアーティストだ」と発言しています。

2020年7月31日にはスポーツ用品の代表的なメーカーPUMAから、J Coleシグネチャーモデルのバスケットシューズも発売するなど、活動の幅もとても広いラッパーです。

今回は多大な功績を残し続けるJ Coleの生い立ちと活躍についてまとめました。

J Coleのプロフィール

hypebeast.comより出典

出生名 Frankfurt am Main(フランクフルト・アム・マイン)
アーティスト名 J.Cole
生年月日 1985年1月28日
身長 188cm
出身地 アメリカ合衆国 ノースキャロライナ州 ファイエットビル
レーベル Dreamville Records、Roc Nation、Columbia、ソニーミュージック

J.Coleは1985年1月28日に、西ドイツのフランクフルトにあるアメリカ軍の基地で生まれました。アフリカン・アメリカンで軍人の父親とヨーロッパ系の母親との間に生まれたJ.Coleですが、幼い頃に父親が家庭を捨て去ります。そのため彼が生まれた8ヶ月後に、母親は兄弟を連れてアメリカのノースキャロライナ州ファイエットビルに移住。その後母親は再婚しますが、再婚した夫の家庭内暴力やドラック中毒に悩まされる日々を送りました。

世間的には順調なラッパー人生を歩んでいるイメージがあるJ.Cole。実は厳しい家庭環境の中、趣向を凝らして今の地位を築いてきたのです。


学生時代からヒップホップの歴史に名を刻むまで

 

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勉学とヒップホップに真摯に向き合った学生時代

ファンの間では有名ですが、J.Coleは勉学に対してとても真摯に向き合ってきた秀才です。そして、音楽に目覚めていったのは、12歳の頃とインタビューで発言しています。

中学校時代はブラスバンド部に所属し、オーケストラで第一ヴァイオリンを担当していました。一方でギャングスタ・ラップのスターであった2Pacのファンであったことから、自ずとラップへの興味が強まっていきます。

そしてクリスマスに母親がASR-Xのサンプラーをプレゼントしてくれたことから、トラック作りを開始。15歳になったJ.Coleは、地元のラップ・グループである「Bomm Sheltuh」に連絡を取り、共に楽曲製作やライブに出演するなど活躍の場を得ていきます。17歳の頃には「Therapist」名義で自作のトラックをネット公開し始めていました。

地元高校である、Terry Sanford High Schoolを評点平均4.2という優秀な成績で卒業。厳しい審査を乗り越え奨学金を手にしたJ.Coleは、ニューヨークにあるセント・ジョーンズ大学に進学します。ニューヨークがヒップホップのメッカだっということや、レーベルとの契約を見据えていたことが、セント・ジョーンズ大学への進学理由です。J.Coleは大学でも成績優秀ではありましたが、2年間ほど音楽から遠ざかっていた時期もあったようです。しかし、卒業が近づくにつれ本来の目的であるヒップホップに本腰を入れ始めます。

チャンスを掴み、歴史に名を刻む

大学卒業後なんとかチャンスを掴もうとするJ.Coleは、HIPHOP界のスターJAY-Zにデモテープを渡そうと、雨の中3時間以上出待ちをします。残念ながら、いざJAY-Zの前へ駆け寄るやいなや「邪魔だ」と無視されるしまつ。しかし自らの力でのし上がったJ.Coleは、2008年にJAY-Zが創設したレーベル「Roc Nation」の第1弾アーティストとして契約を結びます。

ファーストアルバムのプロジェクトが立った頃には、すでに多くの楽曲を製作しヒップホップシーンからの認知を広げていました。しかしプロデューサーであるJAY-Zから「ラジオ局がかけたくなるような曲がない」といわれ、キャッチーな曲が不足していることから、ファーストアルバムをリリースするまでがとても苦労します。そして2011年に、練り練って作りこまれたファーストアルバム「The Sideline Story」を発表。全米売上85.5万枚を記録する快挙を成し遂げます。

そこから発売されたアルバムはすべて全米チャート1位を記録し、2018年に発売された5枚目のアルバム「KOD」でさらなる快挙を成し遂げることとなります。アルバムがリリースされると全米アルバムチャート1位を記録し、表題曲である「KOD」は全米シングルチャート10位、「Kevin’s Heart」が8位、「ATM」が自己最高である6位にランクインします。全米シングルチャート・トップ10に3曲が初登場で同時チャートインした、史上初のアーティストとしてJ.Coleの名が歴史に刻まれました。ちなみにアルバム名である「KOD」の意味は、「Kids On Drugs・King OverDosed・Kill Our Demons」の3つの言葉から成り立っています。それぞれの言葉についての解釈はリスナーに任せるとJ.Coleは語っていますが、幼少期のつらい体験から、人間のエゴが社会やコミュニティに悪影響を及ぼすというメッセージが込められているのです。

J Coleのラップスタイル

J.Coleのラップスタイルに代表されるのが、「自分の視点から物語を描く」ということ。自分自身が体験した困難や、若い世代に向けてのメッセージを織り交ぜ歌詞を繋いでいきます。

自分のストーリーが軸になっていたJ.Coleですが、一時は自分について語ることを、嫌になった時期もあるそうです。2014年にリリースしたサードアルバム「2014 Forest Hill Drive」を完成させた後、「自分語りに疲れて、全く興味がなくなってしまったんだ」とコメント。しかしアルバムを完成させニューヨークから地元ノースカロライナへ引っ越した時に、「自分が持っているプラットフォームを使って人生の物語を語りたい」と再認識したと語っています。

このような視点を持った彼のラップは「生真面目で哲学的な心配性」な一面を持ちます。自分が間違っていないかと悩む度にキャリアや音楽性を軌道修正し、それと同時に自分が信じることを発信する強さも合わせ持ちます。その結果、賢くポジティブな歌詞の中に、彼の弱さが滲むこととなり、それが共感を呼ぶのでしょう。等身大の姿が原動力となり、彼の歴史的快挙を支えたのではないでしょうか。


ラップ以外のJ cole

flymag.jpより出典

NBA入りを目指し本格トレーニング

J.Coleは幼少期からバスケ愛する、生粋のスポーツマンという一面も持っています。これまでもアメリカのプロバスケットリーグであるNBAのショーや、スラムダンクコンテストに登場することも多々ありました。そんな中なんとJ.ColeがNBAを目指し、本格的にトレーニングを開始しているというニュースが入ってきたのです。

ロングシュートの正確さなど元々バスケ界から一目置かれていたJ.Coleですが、2020年10月の時点では35歳であり本来であれば現役引退する年齢といっても過言ではありません。ファンはNBAで活躍する姿を見てみたいという思いはあるのはもちろんですが、正直厳しいのではないかという声が大半となっています。しかし驚くべきことに、ミシガン州デトロイト市に本拠を置くNBAチーム「Detroit Pistons」が、J.Coleに正式オファーをかけたのです。もしこれが実現すれば、ラッパー・音楽プロデューサー・NBA選手と、三足のワラジを履くことになります。

ファッション

J.Coleはスポーツブランドを愛することでも知られています。PUMAやNIKE、チャンピオンといった有名メーカーの服やスニーカーを着用し、幼少期から親しむバスケットをプレイすることは日常です。中でもPUMAがお気に入りのメーカーで、パートナーシップを締結。「夢を追うこと」からインスパイアされた、シグネチャースニーカー「RS Dreamer」を2020年7月31日に発売します。

またJ.Coleがこよなく愛するブランド、BallyからはJ.Coleデザインのブーツとバックパック、A BATHING APEからはコラボスニーカー「BAPE STA」が発売中です。

極秘結婚

自身のプライベート・ライフについて多くを語らないことで知られるJ. Cole。彼は2015年に結婚しており、2人の息子を育てる父親です。そして結婚相手は、メリッサ・ヘーホルトという人物。

2人の出会いはセント・ジョーンズ大学で、10年間の交際を経て結婚しました。J.Coleの結婚が発覚した経緯は、映画「クリード チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラー監督がインタビュー内でうっかり口を滑らせてしまったことがきっかけです。マーティン・ルーサー・キング・デーに行われたストリーミング#MLKNowの中で、クーグラー監督は「結婚でどう変わった?」とJ.Coleに質問。その後J.Coleはインタビューにて、「俺にとっては結婚って1つの交際に過ぎないんだ」と発言します。このことに対してライアン・クーグラー監督はあわてて謝罪し、J.Coleはもちろん許したようで「これでみんな知っただろう」とコメントしました。


J Coleの代表曲

Work Out

ファーストアルバムをリリースするために生み出した楽曲が、キャッチーさを兼ね備えたナンバー「Work Out」です。JAY-Zから「ラジオ局がかけたくなるような曲がない」といわれた経緯から作られた今作は、ポップな曲調であり繰り返されるバックコーラスも印象的です。

一方で、これまでのJ.Coleスタイルを期待していた一部のコアなファンからは、不満の声も上がりました。またJ.Coleが尊敬してやまないHIPHOP界のスターNasも、「お前はHIPHOPを率いることができる人間なのに、どうしてあんな曲をつくったんだ?」とJ.Coleに伝えます。しかし、Nasはその後「Work Out」へのアンサーソングとして発表した「Made Nas Proud」にて、キャリアを築く上で「Work Out」が必要であったと理解を示し、J.Coleを誇りに思っていると喝采を送りました。

 

MIDDLE CHILD

続いては「MIDDLE CHILD」で、ヒップホップシーンにおいて上の世代と下の世代の中間に入る自身の世代を指した楽曲です。死体安置所、マーチングバンド、スーパーマーケットなど、一見ランダムですがメッセージ性のある映像とともに、自身のリアルな思いを込めています。

 

ATM

最後はアルバム「KOD」に収録されている、J.Coleの人気作「ATM」です。楽曲は軽快なドラムビートの上に、J.Coleの「お金」に対する考えが込められたリリックが詰まっています。「死ぬ時には持っていけないけど、お金なしでは生きていけない。だから賢く付き合っていくべきだ。」というメッセージが込められた1曲。一方ミュージックビデオはとてもキャッチーに作られているので、映像作品としても最高の1作です。

 


どうでしたか?

いくつになっても夢を追い続け、ひたむきに努力する姿はまさにJ.Coleらしく、我々に向けて背中で語ってくれているようです。

これからの活躍も、ますます目が離せません。

USラッパーについてもっと知りたい方は「USラッパー20選【2020年最新版】」を参考にしてください。