テレビ朝日とサイバーエージェントが運営するAbemaTVの人気番組「ラップスタア誕生」。
キングギドラのK DUB SHINE の名曲からインスパイアされたこの企画は、多くのラップスターを排出してきました。
2019年に配信されたそのシーズン3で優勝したのが、岐阜県出身の¥ellow bucks(イエロー・バックス)です。
そんな¥ellow bucksについて、その詳しい生い立ちからアルバム制作背景、ファッションなどについて解説していきます。
目次
¥ellow bucksのプロフィール
redbull.comより出典
出生名 | 坂口 和 |
アーティスト名 | ¥ellow bucks |
生年月日 | 1996年8月6日 |
身長 | 175cm |
生誕地 | 日本 岐阜県 高山市 |
出身地 | 日本 岐阜県 高山市 |
レーベル | To The Top Gang |
生い立ちからラッパーとしてのデビューまで
¥ellow bucksこと坂口和は、1996年に東海地方である岐阜県高山市に生まれました。ラッパーとしてレペゼンすることになる東海地方のルーツは、ここにあります。岐阜県高山市は、飛騨高山とも呼ばれる歴史ある山岳都市です。多くのラッパーも輩出しており、ヤクブーツはやめろでおなじみのSHOも高山市の出身です。また、HIYADAMやMCニガリ、BADHOPのTiji Jojoとは同年代となっています。少年時代の¥ellow bucksは、両親や周囲の人々の影響からジャズやレゲエといった音楽には触れるものの、HIPHOPとの出会いはまだまだ先でした。
中学生になるとHIPHOPに出会います。当時、日本語ラップのシーンはSNSの発達もあり、隆盛への過渡期を迎えていた時期でした。15歳になると、自分でもラップをはじめ、この頃には同級生や先輩たちとグループを作り、サイファーやリリックの交換に勤しんでいたようです。¥ellow bucksはそういった仲間たちと共に、地元を盛り上げたいとの思いでHIPHOPイベントを高校時代から積極的におこなっていきますが、そういった思いとは裏腹に地元、岐阜県高山市でのHIPHOPのシーンはどんどん悪くなっていってしまいます。こうしたところに、¥ellow bucksが売れても、絶対に地元を見捨てず、レペゼン飛騨高山を貫く由来があります。
初めてステージに立ったのは16歳の時でした。高校1年生のときに、飛騨高山の1個上のDJであるDJ NINAが始めたイベントで、公衆でのラッパーとしてのキャリアをスタートさせています。高校3年生のときになると、前述したイベントを開催するようになり、飛騨高山の若手ラッパーとして東海エリア、名古屋のイベントなどに参加して、そのスキルを磨きだします。また、同時期にはヤングバスタ、通称YBというラップグループも結成しています。残念ながら、このグループは解散してしまったものの、¥ellow bucksはその思いを忘れないように自身の名前もYBの略称になるようしています。将来的には、YBももう1度やりたいとの思いが強いとのことを¥ellow bucksは多くのインタビューで語っています。
¥ellow bucksの名前の由来は、このヤングバスタと、日本人を含む黄色人種全般を指すYellow、そしてお金を稼ぐを意味するBucksの造語から成り立っています。YellowのYを¥に変えているのは、お金をより稼ぐためという意味のようです。
高校を卒業すると、単身渡米して現地のラッパーやDJと親交を深め、本場のイベントにも多く出演します。この際、とにかく積極的に行動しようと、ラッパーやDJツイッターでDMを送りまくったそうです。帰国をしてからも音楽活動を続け、2019年には「ラップスタア誕生」のシーズン3に出演。ANARCHYをして「たまらない」と評された地元愛、自分のフッドを見事に表現したリリックで優勝をします。そして「To The Top 」でデビューを果たすのです。厳密には、デビュー作品としては、2018年に1stEPとして「CITY VIEW」も発売していますが、こちらはごく少数しか販売せず、プレミアがついてしまっていることもあって、「To The Top」がデビューアルバムとしてカウントされています。また、「To The Top」の半年後には、2ndEPとして客演にShurkn Papなどを迎え「Excuse Me」をリリースし、東海地方の若きラップスターとしての名声をほしいままにしています。
ヤングトウカイテイオーを名乗る
¥ellow bucksのデビュー曲にして、キャッチコピーは「ヤングトウカイテイオー」です。これは、かつて東海地方を代表していたラッパー「TOKONA-X」が名乗っていた「トウカイテイオー」にちなむもので、ラップスタア誕生でも「TOKONA-Xを超えるラッパー見たくね」と言い放ち優勝を果たしています。¥ellow bucksはとにかく東海地方への愛がすごく、尊敬するラッパーとしても、このTOKONA-Xと同じクルーで活動していたAK-69を挙げています。2人が在籍していた「DEF JAM JAPAN」に所属することを将来夢見ているようです。
AK-69は、2020年でも日本トップクラスのラッパーとして活動していますが、TOKONA-Xは2000年代前半に急死しています。死因にはさまざまなことが挙げられてはいますが、詳しいことは分かっておらず、当時、シーンの中心にいたTOKONA-Xの死は大きな衝撃を持って受け止められました。皮肉にも、急逝したことがTOKONA-Xの評価を鰻登りにさせ、東海地方を代表するレジェンドラッパーとしての地位を確率しました。¥ellow bucksは当時、子供だったので詳しくは知らなかったとのことですが、HIPHOPに携わるようになってからその偉大さに触れ、自分もこういったラッパーになりたいとの思いが強くなったと語っています。
ファッションや特技
¥ellow bucksは、実にHIPHOPの王道的なファッションをしています。具体的にはNEW ERAのベースボールキャップ(MLBキャップ)にTimberlandのブーツを組み合わせるというコーディネートです。そのほかにも、Mitchell & Nessをお気に入りとして公表していたり、STARTER BLACK LABELの服もよく来ています。髪型はドレッドヘアが基本です。
意外にも好きな色は緑のようで、ファッション全体から差し色までよく緑を使用しています。
特技は中学校までやっていた書道のようです。小学生で6級、中学生で7級まで取得するほどの腕前で、インスタグラムではよく自分で書いた作品を掲載しています。本人としては、指導が可能になる8級まで取っておきたかったそうです。
¥ellow bucksの代表曲
ヤングトウカイテイオー
¥ellow bucksのデビュー曲にして、ラップスタア誕生でも披露した曲です。TOKONA-Xをはじめとする東海地方のHIPHOPに対するリスペクト、これからは、自身がレペゼンして引っ張っていく気概を表現した曲になっています。
Grow Up
ラップスタア誕生のファイナルステージまで進んだ5人を集めて、その優勝賞金全額を使って作った曲です。男気あふれるエピソードもさることながら、上の世代に向けたメッセージ性が強く込められたリリックは高評価を得て、多くのHIPHOPチャートの1位にもなりました。
¥ellow Way
ラップスタア誕生に出演して有名になる前に発表した曲です。そのタイトルのまま、自分が進む道についてラップしています。
今回は、¥ellow bucksについて、その生い立ちや代表曲を解説してきました。ヤングトウカイテイオーの名に恥じぬ活躍を見せる¥ellow bucksは、同世代を代表するラッパーの一人です。この記事を読んで興味を持った方はもちろん、そうでない方ももぜひ¥ellow bucksの楽曲を聴いてみてはいかがでしょうか。
日本人ラッパーについてもっと知りたい方は「押さえておきたい日本人ラッパー20選【2020年最新版】」を参考にしてください。